「いや、医者としては、絶対に治療を受けてもらいたい。このまま進行すると、脳の様々なところが働かなくなる。右手などに力が入らなかったのも脳梗塞の影響だ。このままだと……」 そこで先生が言葉を飲み込んだ。 「このままだと、何ですか」 「脳の記憶をつかさどるところも働かなくなり、要くんが恐れる記憶喪失にもなりかねない。最悪の場合は死だ」