「俺でよければ、諦めるの手伝うけど。」
「えっ…と、どういう意味?」
そういうと、朔さんはククッと喉で笑って、それから口を開く。
「藍梨ちゃんって、鈍感?
それともわざと?」
「…わざとじゃないと思うけど、鈍感なのかな…?」
「俺、藍梨ちゃんのこと好きなの。
一目惚れってやつ。」
「気づいてなかった?」
「少しだけ…。」
「だよね。
で、今さっきのは、遠まわしに付き合って欲しいって言ったんだけど。」
「わからなかった。」
「いいよ、いいよ。遠まわしに言った俺が悪い。」
「そんなことな…「俺と付き合って。」
あたしの言葉にかぶせるように、朔さんは言った。
戸惑うあたしを横目に、朔さんはふっと笑う。
「返事は今すぐじゃなくていいよ。
とりあえず今日は、楽しもう。
駅、ついたみたいだし。ねっ?」
「うん。」
少しの迷いを胸に秘め、あたしは朔さんに続いて電車をおりた。

