「海!」
「海…?
今11月下旬だよ?寒いよ?」
「うん。知ってる。」
朔さんは少し迷ったような顔を見せたけど、すぐに笑顔になった。
「…よし。じゃあ行こう。」
「うん!」
「藍梨ちゃん、笑顔の方が可愛いね。」
電車に乗って数分の沈黙が流れたあと、先に口を開いたのは朔さんだった。
「えっ?」
「合コンの時は、好きな人のこと話してる時以外、笑っても嘘っぽい笑みだったんだよね。
でも、今はなんか違う。何かあったの?」
「…何もないよ。
何もなさすぎるから、もうちゃんと諦めるって決めて、すっきりしたの。」
「そうなんだ?
それで、諦められたの?」
「ううん。まだ。」

