一人抜いて、一位になる。
そのままキープしようとしたが、後ろの人に足を踏まれ、転んでしまった。
足からは血が出ている。
一人、一人と次々に抜かされていく。
「伊川っ!」
そのとき、仲﨑くんの声が聞こえた。
ザワザワしているはずなのに、仲﨑くんの声だけ、スッと耳に入ってくる。
あたしは立ち上がり、再び走り出す。
よし、三位。
「よく頑張った。あとは任せろ。」
仲﨑くんにバトンを渡すとき、そう声をかけられ、涙が浮かぶ。
仲﨑くんはすごいスピードで走ったけど、すでに一位はゴールした後で、結果は二位だった。
「…みんな…ごめん。」
あたしは体育祭が終わってすぐに、みんなに謝った。
総合は準優勝だった。
きっと、リレーで一位だったら、優勝していただろう。
「何言ってんの、藍梨。
藍梨のおかげで、女子バスケで優勝したし、総合でも準優勝だったんだよ?」
「そうそう。気にしないで。」
みんな口々にそう言って慰めてくれる。

