夜も深まり、恋バナを語り合っていた明美たちが寝てしまった頃、とある森の中で二つの影が闇に紛れながら動めいていた。

「……一片を崩せば以外と脆いはずだ」

 片方の影が威圧的な雰囲気を纏い、足元に頭を垂れている影を見下すようにしながら、冷めた口調で話している。

「では、いかように……?」

 足元に控えている影が頭を垂れたまま、主の命令を仰ぐ。

「まずは戦士の女を消せ」

「……はっ」

 一層低い姿勢を取ると闇夜に紛れて影が消えた。
 残るは命令を下した者のみ。

「お前達が私の前から消え去るのも、時間の問題……」

 そこに浮かぶのは、周りの物を凍りつかせてしまいそうなほどの冷笑。
 月の光が危険を知らせるように、その胸に掛かる十字架をキラリと照らし出していた。

 そして。
 危険な者達が動き出す…。