「やっと来たか!」

 離れていて心配だったのだろう、明美たちの無事な姿を見て安堵の表情を浮かべる。
 聖の声にそれまで明美たちの無事を祈っていたひとみが振り返る。そのひとみと目が合うと、

「お待たせ!」

 笑顔で明美が手を上げる。するとそれまで心配そうな顔をしていたひとみの顔が輝いた。

「明美ちゃん!」

 すぐさま立ち上がると、突進するかのように明美に駆けていく。

「明美ちゃ~ん! 会いたかったよぅ!」

 なんとなくこうなることを、長年の付き合いで分かっていた明美が苦笑いを浮かべながら、両手を広げる。そのまま飛びつくように抱きつくと、ひとみが半分泣き笑いになった。

「大丈夫~? 怪我してないっ!?」 

 無事を確認するように、ぎゅっと抱きしめる腕に力が込められる。まるで女子高生並みの愛情表現だ。

「だ、大丈夫、大丈夫」

 相変わらず苦笑いを浮かべながら頭を撫でてやる明美に、ようやく満足したのかひとみが離れて、

「あれ~ぇ?」 

 明美の下から上まで全身を眺めて、首を傾げる。

「そんなシャツ着てたっけぇ?」

 反対側に首を傾げながら、黒いシャツを着た明美の側に立つ和己をまじまじと見る。

「和己くんのシャツ? 腰にかけてたやつじゃないの~?」

 こういうことにはなかなか鋭いひとみに、しまった。服、借りたままだった。と明美が冷や汗をかく。

「寒くて、ちょっと借りたんだ」

 無理やり作った笑顔がひくひくする。
 まさか、下着が透けて目のやり場に困った和己に借りたとは、恥かしくていえない。その挙句に抱きしめられた上、肩を借りてねむっちゃっただなんて絶対にいえない。

「ふぅん?」

 明美の言葉にひとみは納得いかなそうだ。

「明美ー!」

 聖のバカ声に3人の視線が振り向く。