洞穴の外を確認すると、あんなに濃かった霧が嘘のように晴れていた。上空から日差しもさしているようだ。

「聖たち、無事に教会に着いたみたいだよ。でもそこで墓が大変なことになってるとか。聖の説明じゃ、なんかよくわかんないんだけど。確かめに行こう」

 明美の言葉に頷く和己も立ち上がり、明美を見る。

「もう寒くないか?」

「へ、平気」

 寒かったからとはいえ、抱きしめられた上に肩まで借りて寝ちゃうなんて。ちょっと気まずい、というか照れくさく感じながら頷く。 

 でも。
 人肌ってあったかいもんなんだね。

 和己の腕の中を再び思い起こして、ちょっと心地よかったかもとか思う乙女な自分を、らしくない! としかりつつ気合を入れるために大きく伸びをする。
 背筋を伸ばし上に手を伸ばしながら、うん…っと、顎をそらす。それまで明美の行動を静かに見守っていた和己の指が、突然その顎を掴んだ。

「んなっ!? なに!」

 まさか伸びの途中で、手が伸びてくるなんて想定外で、激しく動揺する明美をよそに、マイペースな和己の視線は彼女の唇に注がれた。和己の顔が近づいてくる。不覚にも、胸をドキドキさせながら目を離せない。