ピリリッ ピリリッ!

 和己の肩に頬をあずけるようにして目を閉じていた明美が、携帯の着信音で目を開ける。

「………?」

 どうやらあのまま眠ってしまったようだ。同じ様に目をつぶっていたらしい和己も、目を覚ました。
 少しだけぼーっとする頭で、スカートのポケットから携帯を探り出し、通話ボタンを押して話しかける。

「ん……はい」

『明美? 俺、聖!』

 携帯から聞こえてくるのは、聞きなれた明るい聖の声。

「なに?」

 携帯だというのにいつもの調子で、つい口調が冷たくなってしまう。 

『すぐ、頂上へ来てくれ!』

「なにかあったの!?」

 緊急事態が発生したのかと、思わずその場を立ち上がる明美に、眠たげだった和己も表情を変える。

『墓が、大変なことになってるんだ!』

「え!?」

 墓が大変?

「よく意味がわかんないんだけど?」

『とにかく自分の目で確かめてくれよ。とにかく早くきてくれ!』

「あ、ちょっと! ひとみは無事なんでしょうねっ?」

『ああ、ひとみも俺も大丈夫だ』

 教会にいるという聖に分かった、と告げ通話を切断する。