明美と聖が前方からツルをなぎ払っている間に、和己は大地を蹴り、高くジャンプをしながら植物の核がもぐっているであろう部分を目指し、大きく腕を振りかぶって槍を投げた。
「ギギギッ!」
地面に突き刺さったように見える槍の先から、苦しげな音とも悲鳴とも聞こえる声が上がり、明美と聖に襲い掛かっていたツルが苦しげにのた打ち回る。
「やったか!?」
聖が明るい声を上げる。
しかし、油断は出来ない。
ゾンビならばやられた時点で土に返るか、消えるはずだった。
それが、目の前では形を保ったまままだ動いている。
すると突然、土の中に突き刺さっていた和己の槍が吐き出されるように、吹っ飛んだ。
「……‼」
確かに利いていたはずの攻撃。しかしなぜ、こいつは復活した!?
再び勢いよくツルを伸ばし、襲い掛かってくるそれに、策はないのかと皆が焦る。
最初こいつが現われた時、種のように小さかった。それが、土に潜り巨大化した。ということは、人のゾンビとは違い、土を養分にしているんじゃ? だから傷が出来た時も、土の養分を吸って回復したと考えると説明がつく。
核の部分を、地面から出さなければ倒せない!
「和己!」
剣を大きく振り歯を食いしばって、巨大なツルを切り落としながら聖が叫ぶ。
植物のゾンビに一番近い場所にいる和己が、振り向いた。
「核だ! こいつの核の部分を土の中から取り出せたら、勝てる‼」
槍を吹っ飛ばされ手ぶらになってしまった和己は、襲い掛かってくるツルを避けながら了解、というように頷いた。
「明美! 和己が核を取り出せるように、あいつの気をそらすぞ!」
「分かった‼」
伸びてくるツルをかわし、そのトゲが頬を掠めるのも構わずにいくつものツルを切り落とす。
聖と明美の共同作業で、ツルの攻撃は二人に集中した。
そこで和己が、核が埋まっている部分に両腕を突っ込んだ。
「………!」
いつもはポーカーフェイスの顔が、苦痛で一瞬だけ歪められる。
しかし腕には確かな出応えを感じていた。大きなサッカーボールのようなそれを両腕に掴んだのだ。地面に隠れていた核を包む小さなトゲが、何本も和己の皮膚を貫き刺さす。それでもそれを掴む力は緩めなかった。敏感な心臓ともいえる部分を捕まれ、地表に現われていたツルが逃げるように核の中へ戻っていく。
「………」
和己は一つ大きく深呼吸すると、全身の力を込めてそれを引き上げた。
「ギギギッ!」
地面に突き刺さったように見える槍の先から、苦しげな音とも悲鳴とも聞こえる声が上がり、明美と聖に襲い掛かっていたツルが苦しげにのた打ち回る。
「やったか!?」
聖が明るい声を上げる。
しかし、油断は出来ない。
ゾンビならばやられた時点で土に返るか、消えるはずだった。
それが、目の前では形を保ったまままだ動いている。
すると突然、土の中に突き刺さっていた和己の槍が吐き出されるように、吹っ飛んだ。
「……‼」
確かに利いていたはずの攻撃。しかしなぜ、こいつは復活した!?
再び勢いよくツルを伸ばし、襲い掛かってくるそれに、策はないのかと皆が焦る。
最初こいつが現われた時、種のように小さかった。それが、土に潜り巨大化した。ということは、人のゾンビとは違い、土を養分にしているんじゃ? だから傷が出来た時も、土の養分を吸って回復したと考えると説明がつく。
核の部分を、地面から出さなければ倒せない!
「和己!」
剣を大きく振り歯を食いしばって、巨大なツルを切り落としながら聖が叫ぶ。
植物のゾンビに一番近い場所にいる和己が、振り向いた。
「核だ! こいつの核の部分を土の中から取り出せたら、勝てる‼」
槍を吹っ飛ばされ手ぶらになってしまった和己は、襲い掛かってくるツルを避けながら了解、というように頷いた。
「明美! 和己が核を取り出せるように、あいつの気をそらすぞ!」
「分かった‼」
伸びてくるツルをかわし、そのトゲが頬を掠めるのも構わずにいくつものツルを切り落とす。
聖と明美の共同作業で、ツルの攻撃は二人に集中した。
そこで和己が、核が埋まっている部分に両腕を突っ込んだ。
「………!」
いつもはポーカーフェイスの顔が、苦痛で一瞬だけ歪められる。
しかし腕には確かな出応えを感じていた。大きなサッカーボールのようなそれを両腕に掴んだのだ。地面に隠れていた核を包む小さなトゲが、何本も和己の皮膚を貫き刺さす。それでもそれを掴む力は緩めなかった。敏感な心臓ともいえる部分を捕まれ、地表に現われていたツルが逃げるように核の中へ戻っていく。
「………」
和己は一つ大きく深呼吸すると、全身の力を込めてそれを引き上げた。