午後、食事の買出し。
「和己と行く」
自ら進んでいったのに、何故か一緒についてきたのは聖だった。
ひとみは『マリアさま』だからあまり外に出る必要もないが、聖は『戦士』だし、戦いの経験をつむ必要がある。もしも皆が動けない場合、店の場所も把握していたほうがいい。と最もな理由を和己が(メールで)押し付けて、聖と買い物に来た帰りだった。
二人で歩くのがよほど嬉しいのか、スキップするかのようにリズミカルに歩いている。
それが視界に入らないのか、いつものなら目障りだとパンチの一つもくれてやるはずの明美は、今朝からずっと和己のことを考えていた。
『母さん』そういった後も、別段変わったところもなく、いつもどおりのあいつだったが、明美はずっと目で追っていた。
「なんで和己は話さないんだろう」
何気なく口にした言葉に、聖が足を止めた。
「和己の声、聞いたのか?」
そういった時のその表情は少し意外そうで。
明美の中でなにか引っかかった。
「聖? あんたひょっとしてあいつと話したこと――」
「メールで話してるだろ?」
ニカッと笑う聖はいつもの聖。
「そうだけど、あいつなんで話さないんだろう?」
「よくわかんねぇけど、あいつにも話が出来ない事情みないなもんがあるんじゃないのか?」
「事情ってなんだよ?」
「そんなん俺が知るかよ。でもよ、あいつが話したいって時には、ちゃんと聞いてやろうぜ!」
『俺は春日部和己だ。それじゃだめなのか?』
そういったとき、あいつはポーカーフェイスを決め込んでいたが、その表情に陰りが見えたのは間違いじゃないはずだ。聖はそのことを、そっと心にしまいこんだ。
和己と話したことは誰にも話さないと約束した。男同士の約束。だから明美にも話すことはできないんだ。
「和己と行く」
自ら進んでいったのに、何故か一緒についてきたのは聖だった。
ひとみは『マリアさま』だからあまり外に出る必要もないが、聖は『戦士』だし、戦いの経験をつむ必要がある。もしも皆が動けない場合、店の場所も把握していたほうがいい。と最もな理由を和己が(メールで)押し付けて、聖と買い物に来た帰りだった。
二人で歩くのがよほど嬉しいのか、スキップするかのようにリズミカルに歩いている。
それが視界に入らないのか、いつものなら目障りだとパンチの一つもくれてやるはずの明美は、今朝からずっと和己のことを考えていた。
『母さん』そういった後も、別段変わったところもなく、いつもどおりのあいつだったが、明美はずっと目で追っていた。
「なんで和己は話さないんだろう」
何気なく口にした言葉に、聖が足を止めた。
「和己の声、聞いたのか?」
そういった時のその表情は少し意外そうで。
明美の中でなにか引っかかった。
「聖? あんたひょっとしてあいつと話したこと――」
「メールで話してるだろ?」
ニカッと笑う聖はいつもの聖。
「そうだけど、あいつなんで話さないんだろう?」
「よくわかんねぇけど、あいつにも話が出来ない事情みないなもんがあるんじゃないのか?」
「事情ってなんだよ?」
「そんなん俺が知るかよ。でもよ、あいつが話したいって時には、ちゃんと聞いてやろうぜ!」
『俺は春日部和己だ。それじゃだめなのか?』
そういったとき、あいつはポーカーフェイスを決め込んでいたが、その表情に陰りが見えたのは間違いじゃないはずだ。聖はそのことを、そっと心にしまいこんだ。
和己と話したことは誰にも話さないと約束した。男同士の約束。だから明美にも話すことはできないんだ。



