こいつ、凄い強かったんだ。
 あれだけのゾンビを倒したあとだというのに、そこには和己らしいいつものポーカーフェイスな表情がそこにはあった。 
 和己は何事も無かったように小さく息をつくと、明美に視線を移す。

「あんた強いじゃん! 凄いよ‼」

 こんな強い奴が味方にいるなんて心強い。明美が嬉しくなって声をかける。

「………」

 返ってくるのはポーカーフェイスの無反応。
 そ、そうだった。打てば響く奴じゃなかったんだ。
 反応の無さにガックリしていると、何もいわない和己が、握り締めた拳から人差し指と中指を突き出して、ピースサインを寄こしてきた。
 ピ、ピース?

「ぷっあっはは!」

 和己らしくないその行動に、緊張が解けた明美が吹き出す。 
 ちょっと乱暴なやり方だったけど、ピンチはくぐり抜けたんだし、ま、いっか。

「さて、帰ろうか……あ?」

 立ち上がりかけた明美の前に、おもむろに和己は跪(ひざまず)くと、明美が擦りむいたほうの膝を手に掴み、傷口に顔を近づけ、唇をそこに付けた。

「~~~~~~~‼」

 なっなに!?
 予想もしなかった展開に、目を見開いて微動だにしない明美に構うことなく、和己は傷口をそっと舐める。
 赤く擦りむいた傷口に、触れる和己の唇。
 和己の。
 唇……?
 体中がカッとなって、

「なっなにすんだー‼」

 次の瞬間、和己の頬を平手打ちしていた。
 せっかく見直したのに、和己は私の中でエロキャラ決定‼