明美とひとみは1階へと降り、普通教室のドアが開いているのを見つけた。
 そこへ駆けていくと、武器を手に持った聖と和己の姿があった。

「あれ? ゾンビは!?」

「倒した」

 聖は倒したとというが、彼らの周りには倒れたゾンビの姿などどこにも見当たらない。

「倒したとたん、塵となって消えたんだ」

 さすがの聖も初めてゾンビを倒した後なだけあるのか、真剣な顔つきだ。それが、明美と目が合うと崩れる。

「それにしても……いやぁ~なんつの、女のゾンビでさ~追いかけられちゃって聖ちゃんモテモテって感じ? あはーいやいや、マイッタマイッタ!」 

「………」

 バカにつける薬はなし。
 明美は和己のように沈黙を決め込む。

「俺ってそんなにカッコいいのかぁ~あははは」

「勝手にいってれば」

 冷めた口調で言った言葉は、両手を腰に置き胸をそらせた聖のバカ笑いによってかき消される。

「あはははは」

「うるさい!」

 ばしん!

「きゃ!」

 本日2回目、今度は後頭部を叩いてやった。
 ふん! 調子に乗りすぎだっていうの。

 まさかゾンビが学校へまで侵入してくるとは……やはりどこにいても危険なのは変わりないようだ。
 結局皆で校内を回ったのち、2階の家庭科室の奥に小さめの部屋があり、そこに寝泊りできる布団があった。どうやら合宿などに使われている部屋らしい。
 1階よりも安全ということやトイレが近く、シャワールームまで備わっている便利さも考えて、明美たちはそこを拠点として活動することに決めた。