ゾンビバスター~4人の戦士たち~

 そう考えてから、なにも唇にしろと、いわれているわけじゃないことに気がついた。

 ええい!
 勢いに任せて和己の頬に、一瞬だけ唇で触れた。
 目を開けた和己の、あからさまにがっかりした表情。

「な、なによ。いまのだってキスのうちに入るでしょ」

「認めない」

 大袈裟なほどのため息を一つ吐いて、明美をグイッと引き寄せる。体が密着して厚い胸板を感じ、いやでも男らしさが伝わってきた。

「和己!? ちょっと待って」

 和己がキスしようとしている。明美は大慌てで抵抗した。
 嬉しいけど、それ以上に恥ずかしいのだ。

「やーもー見せつけてくれちゃって!」

 聞き慣れた明るい声に、二人はピタリと動きを止める。

「でも~相手が和己くんなら、許してもいいかなぁ~」

 間延びしたかわいい声に顔を見合わせた。
 だって、まさか?
 目をパチクリさせながら立ち上がり辺りを見渡す。
 気のせいなんかじゃない。確かに聞こえた。仲間の、聖とひとみの声。
 緊張と期待と不安に胸が震える。

「明美ちゃーん!」

 向こうから駆けてくるのは、この世にはいないはずの大事な人の姿。

「ひとみ!?」

 突進するかのように駆けてくるひとみを反射的に抱き留め、あとから来た聖と、腕の中のひとみを交互にみる。

「な、なんで? だって……」

 二人は目の前で死んだはずだった。さすがの和己も面食らった様子で、突如現れた二人をまじまじと見ている。

「もしかしてゾンビになっちゃったとか!?」

 腕の中のひとみを僅かに離して、ゾンビっぽいところはないか、全身をくまなくチェックする。

「大丈夫、ちゃんと人間だから。ほら、ね?」

 ひとみが両手を伸ばして、明美の頬に触れる。
 温かいぬくもり。
 死んだ人間が、甦ったってこと?
 一瞬頭をよぎった考えにそんなの有り得ないと、首を振る。

「マジで生き返ったんだよ。この人のおかげで」