ゾンビバスター~4人の戦士たち~

 明美は立つことすら叶わぬまま、両手を強く握り締め声の限り叫んだ。

「私あんたにまだ、好きだっていってない!」

 叫ぶと同時に爆音。
 目を開けていられないほどの爆発。風圧が襲い掛かり、顔に手をかざし、飛んでくる砂埃や小石を避ける。

 和己……!
 どうか、どうか和己を助けて!

 強く願う。
 次第に爆発が生んだ風が納まり、明美が目の前に見たものは。
 影の体を崩しながらもいまだ姿形を保っている悪魔。その足元にうつぶせに倒れた和己。
 その和己はピクリとも動かない。

「和己……」

 頭の中で何かがはじけた。
 辺りの音も、緑の匂いも感じない。そこにあるのは無。
 怒りを通り越すとこんな風になるものなのか?
 なにも感じない。
 ただあるのは、やけに落ち着いた気持ちでいる自分。
 さっきまでの痛みも痺れも、うそのように消えていた。
 近くに落ちていた自分の剣を拾い、ゆらりと立ち上がる。

「闇の反乱者。あんたは禁忌を侵したんだ」

 ザッと地面を蹴りあげ、猛然と走り出す。

「決して乱してはならない、この世の秩序を乱した。絶対に許さない!」

「ばかな! お前にまだそんな力が……!」

 ひとみが、聖が、すぐ側で私を援護してくれているような気がした。ひとみの強さと聖の勇気を借りて、自分自ら大きな聖剣となって突き進む。悪魔の闇の体を貫いた。闇の体はそのまま明美を飲み込み、その背中から吐き出した。膝をついて着地する背後で、

「おっおおおお!」

 悪魔が叫ぶ。苦しみに呻く叫び声は大地を揺るがす。悪魔の体は収縮を繰り返し、やがて消え失せた。霧が薄くなっていく中で明美は呆然としていた。手から剣がこぼれてカンと音を立てる。
 そこでようやく我に返った。

「私」

 勝ったんだ……。
 気がつけば霧は晴れて、上空から暖かな日が射している。
 そうだ。和己!
 力が抜け、倦怠感が体を襲う。フラつきながらも和己のもとに近づいていく。うつぶせに倒れている和己は、生きているのか、それとも……。

「和己」

 しゃがみ込んで、和己の体に恐る恐る触れた。