あとは最終決戦残るのみ……!
明美と和己は悪魔がつけた黒いシミを追った。
「ここは……」
「……始まりの場所」
口をつぐむ明美の言葉を和己が引き継ぎ、二人して上を仰いだ。
初めてゾンビが現れた墓地のある、山。
濃い霧の立ち込めた山は、人が踏み入るのを阻んでいるかのようだった。
春を思わせる天候のよい暖かな一日。とても濃い霧がでるような日ではない。この霧があの悪魔が作り出したものだということは、火を見るよりも明らかだ。
いくら待ったところで霧は晴れない。
奴は、私たちを意識して守りに入っている。
だったらこっちは、来れないだろうと高を括っている悪魔の不意を突いて、前に進んでやる。
明美と和己は互いの顔を見合い、同じ気持ちであることをその表情から感じ取った。
「行こう」
手を取り合い足を踏み出す。
ただでさえ動きが取りにくい視界の中、濃い霧で湿った足場がぬかるんで歩きにくい。協力し合い、辺りを探りながら進んで、とうとう山頂へ出た。
「………」
主のいない教会や墓地も濃い霧でどこにあるのか判別すらつかない。いつ、どこから何が襲ってくるのかもわからない緊張から、体が強張る。
「ギャアギャア!」
近くの木に止まったカラスが不気味に笑う声を聞き、明美が息を飲む。すると励ますように握っていた手に、和己が力を込めた。振り仰ぐと和己の冷静な瞳が真っ直ぐ見ている。
大丈夫、私には和己がいる。
落ち着きを取り戻したとき、重く邪悪な空気が辺りを覆い始めた。
奴がいる。
「我を追ってやってきたか」
冷たく感情のない音が辺りに響く。その声が心に直接響くのか、すぐそばから聞こえてくるのかわからない。
深手とは言えないまでも、傷をおっていた悪魔は体の回復の為に一度闇へ戻ろうと、この場に来ていたのだった。
明美も和己も手を離し、己の武器を油断なく構える。
「……奴は、聖は死んだか」
「!」
おうようのない声が楽しげに震える。
和己のおかげで動じることなく悪魔の声に立ち向かえた明美の心が、一気に燃え上がる。
「ふざけんな! あんたを闇へ帰してやる……!」
剣の柄を握り締め、動きだそうとしたところで和己から声がかかる。
「待て」
「なんでっ聖の、ひとみの仇を討つんだ!」
「落ち着け。奴の思うツボだ」
諭されて、怒りのままに和己から離れ突出していくところだった明美は、踏みとどまる。奴の姿が確認できないまま、和己から離れることは危険だった。
明美と和己は悪魔がつけた黒いシミを追った。
「ここは……」
「……始まりの場所」
口をつぐむ明美の言葉を和己が引き継ぎ、二人して上を仰いだ。
初めてゾンビが現れた墓地のある、山。
濃い霧の立ち込めた山は、人が踏み入るのを阻んでいるかのようだった。
春を思わせる天候のよい暖かな一日。とても濃い霧がでるような日ではない。この霧があの悪魔が作り出したものだということは、火を見るよりも明らかだ。
いくら待ったところで霧は晴れない。
奴は、私たちを意識して守りに入っている。
だったらこっちは、来れないだろうと高を括っている悪魔の不意を突いて、前に進んでやる。
明美と和己は互いの顔を見合い、同じ気持ちであることをその表情から感じ取った。
「行こう」
手を取り合い足を踏み出す。
ただでさえ動きが取りにくい視界の中、濃い霧で湿った足場がぬかるんで歩きにくい。協力し合い、辺りを探りながら進んで、とうとう山頂へ出た。
「………」
主のいない教会や墓地も濃い霧でどこにあるのか判別すらつかない。いつ、どこから何が襲ってくるのかもわからない緊張から、体が強張る。
「ギャアギャア!」
近くの木に止まったカラスが不気味に笑う声を聞き、明美が息を飲む。すると励ますように握っていた手に、和己が力を込めた。振り仰ぐと和己の冷静な瞳が真っ直ぐ見ている。
大丈夫、私には和己がいる。
落ち着きを取り戻したとき、重く邪悪な空気が辺りを覆い始めた。
奴がいる。
「我を追ってやってきたか」
冷たく感情のない音が辺りに響く。その声が心に直接響くのか、すぐそばから聞こえてくるのかわからない。
深手とは言えないまでも、傷をおっていた悪魔は体の回復の為に一度闇へ戻ろうと、この場に来ていたのだった。
明美も和己も手を離し、己の武器を油断なく構える。
「……奴は、聖は死んだか」
「!」
おうようのない声が楽しげに震える。
和己のおかげで動じることなく悪魔の声に立ち向かえた明美の心が、一気に燃え上がる。
「ふざけんな! あんたを闇へ帰してやる……!」
剣の柄を握り締め、動きだそうとしたところで和己から声がかかる。
「待て」
「なんでっ聖の、ひとみの仇を討つんだ!」
「落ち着け。奴の思うツボだ」
諭されて、怒りのままに和己から離れ突出していくところだった明美は、踏みとどまる。奴の姿が確認できないまま、和己から離れることは危険だった。



