ゾンビバスター~4人の戦士たち~

 聖は遠くなっていく意識を懸命に引き戻して、和己に手を伸ばす。ありったけの思いを込めて。

「頼んだからな」

 明美も。この戦いの勝利も。

「ああ」

 聖が伸ばした手のひら。和己が同じように手のひらを重ね軽い音をたて、ハイタッチがかわされる。

 友情と信頼を込めて、和己に全てを託すよ。

「……ッ!」

 やばい、意識が飛んでいきそうだ。もう、痛みすら感じない。

「聖! 聖っやだ、だめだ!」

 明美が泣いてる。俺のために。頬に落ちてくる涙を拭ってやれない。

「明美の、膝、柔らかくて気持ちいいな……」

「なにばかなこといってんのっ怒るよ!」

 怒ったお前も、もう見れないんだな。

「膝枕なんて……最高の贅沢だ……」

 もう側にいてやれそうにない。ゴメン……。
 聖は最後に弾けるような笑顔を浮かべると、そのまぶたはゆっくり閉じられた。

「聖! 聖!?」

 いくら揺さ振ったところでなんの反応も返ってこない。操り手を無くした人形のように。

「聖……せいーーーー!!」

 亡骸となった聖の頭を抱きしめ、辺りに響き渡る明美の声は哀しみにみちていた。

 ひとみ、聖。
 二人とも大事な仲間。かけがえのない仲間。
 でも、二人は二度と私に笑いかることはない。

「明美……」

 和己に声をかけられ、虚ろな目で見上げ、心が弾けた。聖を下にそっと降ろし、

「和己……!」

 涙に濡れた顔を、くしゃくしゃにしながらなりふり構わずその胸に飛び込んだ。受け止める腕は力強く、しっかりと支える。
 かけがえのない人を二人もいっぺんに失い、くじけてしまいそうだった。
 せめて今だけは和己の腕の中で、甘えていたかった。
 もう一度戦えるように、私に勇気をちょうだい。
 明美は和己の胸にしがみつきながら、声のかぎり泣き続けた。