和己、お前も明美が好きなんだろ?
 そういった聖が真剣な面持ちで答えを待っていた。

「俺は――」

 言いかけた時、再びポケットの携帯が鳴った。
 今度は明美からの着信だ。電話にでてもいいと、聖が頷くのを確認してから通話ボタンを押した。

「大変です! 明美さんが! とにかく早くっ早く来てください‼」

 音が割れるほどの大きな声。
 緊迫した只ならぬ斎の様子に、すぐさま行動に出た。慣れた手つきで携帯の電源を切り、ポケットにしまいながら屋上からの猛烈な勢いで階段を降りて行く。和己の表情から異変が起きたことを察知した聖も、素早く後を追った。

 明美が危ない……!