「こんな陽気だとさ、春も以外と近いかもしんないな」

 晴れ渡る空を見上げ伸びをする聖に、視線を投げ掛ける。

「……季節の話がしたいなら、斎神父にしたほうがいいんじゃないか」

 体の向きを変えて、もと来た道を戻ろうとすると、慌てて聖が止めに入った。

「うおぃちょい待ってくれっ。あーなんつうかその、いきなり本題に入ってもアレっしょ?」

 冷や汗をかく聖を一瞥してから、ため息と共に言葉を吐く。

「明美のことだろ」

「か、和己きゅん、ストレート過ぎ」

 直球の言葉に苦笑いを浮かべ、横に並ぶ和己に体ごと向かうころには真顔に戻っていた。

「俺、マジで明美が好きだ」

 聖のあまり見ることのなかった真剣な表情。そこには譲らない強さと、熱い情熱のようなものが見て取れた。和己もそんな聖をじっと見返す。

「和己、お前も明美が好きなんだろ?」

 先日の和己を見て確信した。再び人間として目覚めたとき明美になにか大事なことを伝えようとしていた、あのときの表情。普段は感情をあまり表に出さない和己が、何かを訴えようとしていた、あのときの表情を忘れられない。けれど同じ仲間が恋のライバルだなんて、本当は認めたくなかった。正直、和己には違うと答えて欲しい、心の底でそう望んでいる自分に気が付いた。

 和己、お前も明美が好きなんだろ?

 そう問いかけながらも、和己の答えを待って、緊張に手のひらが汗ばむほどだった。