そんなこと、で済まさないでほしかった。
万が一のことがあったときの辛さを、私は知っているから…………。
そして、重なった。
あの日のあの子と、伊藤君の姿が。
「…………伊藤君は、言わなかったんじゃなくて、言えなかったんじゃない?拒絶されることが、怖くて」
「…………」
言葉を返さないところから見ると、どうやらあっていたようだ。
それでも黙り続ける伊藤君に構わず私は話す。
「やっとできた友達に、離れてほしくなかった。クラスのヒーローになりたかった。そのためには、どうしても勝ちたかった。そして」
一呼吸おき、最後のとどめをさす。
「翼に勝ちたかった。違う?」

