フェアリーガーデン

“Paradisus blue fantasy aria”
 青の楽園 幻想のアリア

 物語の終演



 詩の終わりに、旭の声が降ってくる。
 盟約式の会場にいる全員が、天を仰ぐ。

「ようこそ“詩季森学園”へ。――俺たちからの、祝福を授けます。妖精との絆をここで、結んでください。ここはそのための場所ですから。――歓迎します。未来ある紡ぎ手たちを」

 ブルーモーメントの鱗が煌めく大きな魚が真上を優雅に泳ぐ。

 青いランプの輝きがまるで、蒼海を創り出しているようだった。旭の言葉を合図に、蒼馬が神楽笛を口にする。深海のように深く神秘的で、響き渡る笛の音色に合わせて、蒼馬の妖精カグラが舞う。

 人は感動すると、どうも月並みな感想しか述べられないらしい。


 「蒼馬先輩、笛吹けるの?」

 「いや、誰も知らないんじゃないか。噂にもなってないし。旭先輩の詩は盟約式で有名だけど、これはもう比較できるレベル超えてるよな……」

「でも祝福ってなんだろう?」

 互いに顔を見合わせる。これも項目に入っていただろうかと先輩の詩徒は思考をフルに巡らせるが、記憶にはない。だとすると――即興だろうか、と。

 例年にはないことだ。


「花はちがうのかな?」

「花は演出じゃないの?」


 再び喧騒を取り戻す。旭の肩に乗っている深紅は、高みの見物気分である。特に役割も何も無いため、旭から頼みごとはされていなかった。


『祝福なんているのか?』

「人も妖精も“同じ”なら、たまには必要でしょ」

『ふーん。お前って……ほんとわかりづらい人間だよなぁ』

「ははっ。深紅は、それでも俺を選んでくれたじゃない紡ぎ手に」

『ま、そういうもんか』


 結局祝福が何なのか明かされないまま、盟約式は幕を閉じた。新入生の詩徒たちはしばらくその話題に花を咲かせたらしい、妖精たちもまた、同じようだった。


 またいつも通りの日常が始まる。