普段は、宙さんが話し出すまで待ってる。
今日もそうする。
「…今日、会ってきた」
前々から聞いていたことだし、先生も休んでいたから察しはついていた。
だから驚く必要も無い。
「それで、えっとっ」
「ゆっくりでいいですよ。自分のペースで話してください」
言葉に詰まる宙さん。
どう説明しようか頭の中で整理しているんだと思う。
たまにこんがらがって突飛な発言をするから。
光って見えたのは、無意識に瞳の奥に涙が溜まっていたから。
「私、」
やっと落ち着いたのか話し始めた。
涙が頬を伝ったことに、本人は気付いていないようで、私も見て見ぬふりをした。
「好き、って言った、の」
「はい」
「言いたかった、こと…やっとッ」
声が震えていた。
応えは想像出来ていた。
先生が、教師として…1人の女性の夫として、どう応えたのか。
子どもでも、容易に想像できる。
「そしたらっ…」