「よく飽きないね」
「飽きるわけないじゃん!
トランプといえば、どの世代でも楽しめる最強の遊び道具なんだからー」
「いや知らないけど」
今飽きてる私はじゃあ何者…?
昔から苦手なくせに、何故わざわざこの遊びを提案してくるのか、全くもって謎。
本当に飽きてない証拠なのかも。
「そろそろ寝ない?明日休みだから、どっか遊び行きたいし」
適当にこの茶番を終わらせる言い訳を考えてみた。
飽きたし、はやく宙さんのところへ行かないと、飽きて寝てしまうかもしれない。
この理由…苑には効くはず。
「名案だね!!そうと決まったら早く寝ないと!楽しみだなぁ~」
見事にはまった…
トランプを雑に片付け、勢いよくベッドに飛び込んだ苑。
まるで遠足前の子供。
苑は何をしても子供に見えるな。
「単純で助かった…」
ふぅ、と息を漏らすと、静かな寝息が聞こえてきた。
昔からの寝つきの速さ。
苑は「今日は語り明かそう!」とか言い出したくせに1番先に寝てしまう損なタイプ。
布団に入りかけていた体を起こす。