「ふぅ…焦ったー」
口の中のものを飲み込んで胸を軽く叩いた。
実際どうなのかわからないけど、苦しくなった時は胸のあたりを叩くと、少し苦しさが和らぐ気がする。
色んな人がやってるのを見たし、何も無いってことはない…はず。
「馬鹿だね…相変わらず」
「そんなこと言わないでよ~!」
遊乃の冷めた目はいつものことだから気にしてない。
馴れって怖いな、とは思う。
「遊乃は知ってたの?奏さんのお父さんがあのクレープ屋さんの社長さんだってこと」
さっきの疑問を聞く。
なんとなく、お姉ちゃんの前では聞きづらかった。
「帰りに聞いた」
「ふーん」
やっぱり遊乃は人が秘密とかを話したくなる何かを持ってるのかも。
かっこいいなぁ。
「あんた驚きすぎでしょ。よくあることだよ、そーいうの」
「いやー。いきなりだったもんで…」
なんとも言い訳じみた…


