ブーブー、と携帯のバイブ音が聞こえた。



音は鳴らないようにしている。


いつ、どんな場合でも、鳴って大丈夫なように。




立ち止まった。


「どしたの遊乃」


宙さんからだ…




『遊乃ちゃん、今日ウチに寄れる?泊まれると、いいんだけど』



淡々とした文章だった。



メールじゃ気持ちはわからない。


隠そうとすれば相手を欺くことなんて容易いこと。



電話だったら分かり易いのに…



「今日苑の家寄る…ってか泊まる。先にウチ寄って行こ」


「ホント!?やったー!!!」



大袈裟に喜ぶ苑。


本当に喜べるなら、いいんだけど。