「友達のままの方が良かったかも…」
「友達ってのもけっこう辛いけど」
咄嗟に言い返した。
花音は驚いて私を見た。
「何か言った?」
「なんでもー」
幸いかはたまた不幸か。
聞こえなかった…どっちにしろ今、遺恨を残さなくてよかった。
言い返したのは気まぐれ。
自分と重なったのかもしれない。
関係が壊れるのが怖くて、想いを伝えずに今のままを続ける。
彼女と私が違うのは…
想いが届いたか否か。
…私は彼女に負けた。
直接的ではないけど、今の私にはそう思うことしかできなかった。
うまくいった者しか味わえない苦悩。
聞きたくなんかない。
理解したくもない。


