そう、本当に単純。
『おい春村!』
『ん?』
『これ…やるよ。お前さっきから何にも食ってねぇだろー』
『…ありがと』
あれは確か体育祭のとき。
係に追われて昼休憩がとれなかったあたしに、よっしーは自分の昼食を分けてくれた。
まぁその後、本当に休憩のなかった遊乃が倒れてしまったわけだけど。
それを考えると、恋をするにも時と場所ってもんがあるだろ、って思うけど。
でも、たったそれだけで、あたしはよっしーに恋をした。
きっとその前から気にはなっていたんだと思う。
想いを自覚するきっかけがたまたまその時だっただけ。
今振り返るとなんて馬鹿馬鹿しい話なんだろう、と思う。
でも、これは本気。
ただ恋をしてみたいって軽い気持ちじゃない。


