「っはぁ…はぁッ」
走りながらも頭の中は落ち着いていて。
なんで逃げたんだろ…
いつもみたいに「何?」って返せばよかったじゃん。
逃げたら自分が苦しくなるだけじゃん。
わかってるのに、友馬から遠ざかろうとすることを、やめなくて。
「人のこと馬鹿なんて言って…自分が一番馬鹿じゃんっ!」
虚しい…
片想いの辛さ、わかってたはずなのに。
なんで今更こうなってんだろ。
こんなんじゃいつまで経っても立ち止まったままだ。
宙さんには偉そうに言ってるくせに。
自分のことになると何もできなくなる。
いっそのこと、こんな気持ち、忘れて無くなってしまえばいいのに。
そうすれば幸せだよ、みんな。
きっと。
「あー遊乃〜」
「っ…苑」