でも、常に面倒だとは思っている。


特に今日は量が多いから。






「…終わったぁ。ありがと」


はい、と手渡すと、ご苦労さまでした、と返ってきた。


感謝すべきは私の方だけど。

何故か労わってもらえた。



「じゃあ少し休んでていいよ。あたしお昼買ってくる」


バッグから財布を取り出した苑は、足早に教室を出た。

購買には腹を空かせた男どもがわんさか集まっている、はず。


苑1人では心配だ。



「…なんだよ」


「お姫様を守りに行ってよ、ナイトさん」


は?と首をかしげる男、友馬。

ちょうど近くにいるとは、なんという偶然だろうか。


…なんて言い訳通じるわけもなく。


諦めるか。



「なぁ遊乃。お前俺に恨みあったりする?」


「ないことはない」


「例えば?」


「………さぁ」



意味ありげにそう言うと、余計に不安を感じたのか身震いをした友馬。


保育園から一緒なんだ。

恨みの1つや2つ、あってもおかしくはないだろうに。


そんなことを言う私も、友馬に恨まれているんだろうし。