これで何回目だろ、友馬の好きな人の話をするのは。
そのことで勝手に心を痛めるのは。
『お前には話しやすいんだよな、俺』
『男に相談してるみたいだろ』
『あー…だからかもな』
話しやすいって言ってくれるのは嬉しい。
でも、それは相手に知られても自分が損しないからで。
…気になってもいないからで。
自分に期待させないように考える理由も、最後には自分を貶める言葉に変わる。
忘れれば、楽なのに。
忘れてしまえば、傷つかずに笑っていられるのに。
他人の恋愛には口を出す。
でも自分のコトには口を出されたくない。
『遊乃って好きな人いなさそー』
『まぁ、いねーし』
この印象を早く根付かせたことが正解だった。
誰にも干渉されずに、勝手に落ち込んで終わることができるから。


