遊乃、って友馬が口にした時、少しばかりの喪失感をおぼえた。
自分は必要とされてないんだな、と感じて、胸がズキズキと痛んだ。
昔から被害妄想が酷いからなのか、些細なことで傷つく。
馬鹿みたいだなぁ、あたし。
「あ、苑ー」
感傷に浸りながら、トコトコと廊下を歩いていると、また声をかけられた。
今日はなんだか呼ばれることが多い。
疲れ気味に振り返ると、今のあたしには少し辛い彼女が立っていた。
「……遊乃」
名前を口にした途端に、ハットして口を抑えた。
これじゃあ八つ当たりだよ。
遊乃は何も悪くない、逆に被害者。
あたしの勝手な被害妄想の被害者だ。
「…苑。今帰り?」
「うん」
「じゃあ帰ろ」
あたしの様子に気付いてなのか、手首を掴んで、有無を言わせずに連れていく遊乃。
「何処に行くの?」とか明るい話題を振るような勇気は持ち合わせてない。
この空気を作ったのはあたし。
とにかく今は着いていくしかない…よね。


