恋愛協定の破り方

前を行くハルに手を引かれて、早足で歩く。


「どこ行くの?」

「食堂。
強引になっちゃってごめん。
いやだった?」

「ううん。
一応女の子たちのグループでご飯食べてるんだけど、ほとんど馴染めてなかったから。
だからって、こんなこと言っちゃいけないかもしれないけど、ありがかったよ」

「そっか。
…ほんとはね、ご飯まで一緒に食べてもらおうって思ってなかったんだけど…。
友達としゃべってる湊、楽しそうには見えなかったから」


なんとなくだけど、とハルは付け足して、頬をかいた。


「ごめん…!
気を使わせちゃったね」

「気を使ったなんてそんなたいそうなことじゃないし。
それより俺、

湊と一緒に過ごしたかったから」

「え!?」


私と一緒に過ごしたいって、どういうことだろう。

ハルは私のことなんとも思って無いんだから、期待しちゃだめ。

そう思いつつも、赤くなる顔がうらめしい。


「仲良くなりたいんだ。

これから長い付き合いになるんだから」


ハルが笑う。

どうしてこんなに綺麗に笑うんだろう。

どうしてこんなに私をひきつけてやまないんだろう。