恋愛協定の破り方

ハルのことで頭がいっぱいで、ぜんぜん授業に集中できないまま昼休みになってしまった。


「一ノ瀬さーん、今の授業、まじでつまんなかったね」


数少ない友達の1人が、お弁当を片手に私のところまで来てくれた。

話しかけてくれるのは嬉しいけれど、内容には同意できなくて困ってしまう。

極力悪口のようなことは言いたくない。


「私…そんな…」

「あたし爆睡しちゃった〜。
あんなの聞く価値ゼロって感じ。
先生がせめてイケメンだったらねぇ」

「そ、そうかも…ね」

「でしょ〜。
んじゃ、ご飯にしよっか」


言われて、私もお弁当を手に取る。


「うん、ご飯ーーー」

「今日から俺とご飯食べる約束してたんだよね!?」


私の言葉を遮ったのはハルだった。

友達に向かって、ごめんねと申し訳なさそうに言った彼は、私の手をとって優しく引っ張った。