勢いよく扉を開けて教室に逃げ込んで、勢いよく扉を閉めた。

肩で息をしながら、見つかりませんようにと祈る。


「いーちーのーせーさーん!」


廊下から大きな足音と大きな声が響いてくる。

私は今、この足音と声の主から逃げているのだった。


「一ノ瀬さーん!
一ノ瀬さーん!
……もう校舎からでたのか…?」


どうやら居場所はバレなかったみたい。

遠ざかる足音に安堵を覚えると同時に、教室にいるもう一人の存在に気がついた。