恋愛協定の破り方

一人でホームに立ち電車を待っていると、見知った背中を見つけた。


「ハル!」


ケータイを眺めていたハルは、私が声をかけるとそれをしまって片手を上げる。


「湊〜!」


また、会えた。

それが嬉しくて、私は彼に駆け寄って、その隣に並んだ。

でも、考えてみれば、嘘の彼女なのに学校外でまで声をかけるのは迷惑なのかな?

ハルは朝に話しかけてくれたけど…。

偽物の恋って、よくわからないし、難しい。

形は偽物だけど、

だけど、私の恋は本物なんだ。

だから、不安になる。

すきなひとを困らせたくない。

ほんの少しでも、嫌な気持ちにさせたくない。


そう、思ったんだ。

だけど、


「今日はたくさん湊と会えるね」


ハルがそう言ってくれたから、

嬉しそうに笑うから、

不安なんて忘れてしまえるんだ。


私が安堵から微笑むと、彼が私の頭をよしよしと撫でた。


「なーに?」

「んーん。
なんとなく、だよ」


ハルも、笑った。

目が綺麗な三日月になるんだなあと、気がついた。