~お姉ちゃんの恋人~

わたる君には、今日行くことは伝えてあった。


…震える指で玄関チャイムを押す。


ピンポーン


乾いた電子音が響いた。


玄関が開いて、わたる君が笑顔で迎えてくれた。


……あ…。


玄関の傘立てに。


おねえちゃんのプレゼントした傘があった……。



もしかしてと思っていたけど…。


やっぱり、わたる君が、おねえちゃんの恋人なんだ…。



あたしの疑惑が。


確信へと変わった瞬間…。


「悠里ちゃん…?」


玄関で立ち止まるあたしに、わたる君が声をかけた。