「いいんですっ。あたし、並だって自分でわかってますから。」 「いやっ…とりあえず送るよ。ホラッ、こうして離れて歩くから。」 といいながら、微妙に距離を置くわたる君。 …優しいんだ。 あたしたちは、沢山おしゃべりしながら歩いた。 わたる君は大学3年生で、意外にも、家は近かった。 二つ年上のお兄さんがいて、四人家族。 あたしは、この数十分の間に、わたる君のことが忘れられない存在になってしまった。 あたしの家の近くで別れたんだけど…