「綺麗…。」


何気なく呟いた私にぎゅっと隼人は手を握り返してきた。


視線を隼人に向け、顔を見る。


隣にいる隼人の顔は思ったより近くてドキドキが振り返す。


でも花火を背に影をおった隼人の表情はよく見えない。


いつのまにか私達のどちらとも手元の花火は消えていて太一達の花火も消えた。


瞬間、暗闇に包まれた私達。


次に太一が点けたさっきよりも大きな花火を隼人が遮る体制にいつのまにかなっていた。


目を開けたままの私の前で薄暗くても花火の明かりで見える隼人の閉じられた瞳。


柔らかい唇が私の唇を覆い、少し横へズレたかと思った途端に離れた。


私から離れて行く隼人の顔をボォーッと見つめながらも瞬きさえもできずにいる私に


「また会いたいんだけどダメ?」


後から考えたら順序がおかしいと思ったその言葉を隼人は言って私に笑いかけた。


その時、既に隼人に恋した私は隼人への返事の代わりに深く頷いたんだ。



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