りりかか窓を開けると、向かい側の家の窓が開いていて、男子が見えた。
スポーツ刈りが少し伸びた感じの、少し茶髪の男子だ。
顔はなんとなく、ジャニーズっぽい。
「こうちゃん!きょうはね、もえおねぇちゃんのおともだちがきてるの!」
りりかがそう言うと、『こうちゃん』は私に視線を向けて言った。
「萌の友達?珍しいね」
私は頭を下げる。
「りりか、ちょっと萌呼んできてくれる?」
「うん!」
りりかはバタバタ走ってネコを呼びにいき、私はなんだか気まずくて下を向く。
「名前、なんていうの?」
こうちゃんの声に顔を上げると、こうちゃんは真顔で、私は視線を下に落として答える。
「司」
やっぱりこの名前……嫌すぎる。
でもこうちゃんは言った。
「いい名前じゃん」
私は顔を上げると、こうちゃんは笑顔で、私も笑顔で言う。
「ありがとう」
単純だけど、こうちゃんはよい人かもしれない。
そのとき、階段をドタバタ歩く音が聞こえて、部屋のドアが開き、ネコが真顔でこうちゃんに言った。
「なに?今、超忙しいんだけど」
え?
ネコが男子の前なのに、変わらない……?



