そして部屋の中を見回す。
物が沢山あるな。
ひとつの部屋を三人で使ってるんだもん。
窮屈そうだけど楽しそう。
お母さんも仕事してるのかな?
「お母さんはお仕事?」
「うん!おとうさんも、おかあさんも、おしごとだよ。だからね、もえおねぇちゃんが、まいにちいえのことしてるの。おせんたくも、ばんごはんも、ぜぇーんぶもえおねぇちゃんがやってるんだよ」
「え……?」
ネコがいつも家事があるからって帰るの、本当だったんだ……。
「おねぇちゃん、あそぶじかんがないけど、おかあさんたちがたいへんだから、しかたないんだって」
「そうなんだ…?お姉ちゃん偉いね」
「うん!りりか、もえおねぇちゃん、だぁーいすき」
りりかはそう言って愛らしく笑う。
ネコは、私が学校が終わった後、家でソファーで横になってた頃、洗濯や掃除や、晩御飯を作ったりしてたんだ……。
まだ高校一年なのに、偉いな……。
そう思ったとき、窓になにか当たってカチ、カチって音が聞こえた。
「なに?」
「こうちゃんだ!!」
りりかはそう嬉しそうに言うと、急いで窓を開ける。
そういえば、今日猫から"こうちゃん"って名前を聞いた気がするけど、"こうちゃん"だったっけ?