ネコの言葉にあんなに怒っていた山根が、ポカンと口を開けた。
そして堂林は山根にキツく言う。
「お前こそなんなの?付き合ってもないのに、彼女面すんのやめてくれよな」
「え……私……」
山根は堂林の言葉に泣きそうな顔をして言葉を詰まらせる。
「萌ちゃん、出ようか?」
私は?
ふたりだけで出ていくつもり……?
こんなに空気が悪いのに、置いてかないよね?
みんなの視線がネコに集中し、ネコは少し間を作って答えた。
「まだまだ堂林くんといたいんだけどね、私、帰ってご飯作んなきゃいけないんだ」
「え?萌ちゃんコイツに遠慮してんじゃないの?」
ネコは一呼吸置いて、チラッと山根の顔色を伺うように見ると、ぎこちなく言った。
「う、ううん。そんなことないの。本当にね、家に帰ると忙しいから。そろそろ帰らないとって思ってたの。ごめんねぇ?」
「いいよ。じゃあ、萌ちゃん番号教えてよ」
「うん!」
立ち尽くす山根を無視して、ネコと堂林は赤外線で番号交換する。
「今日はありがとぉ。司、帰ろ?」
え?私……?
よかった。
ネコだけ帰ったら流石に気まずいもん。
そう思ったとき、山根が大きな声で言った。



