それに気づいた女子たちは話すのをやめ、山根の姿に釘付けになっている。
そう。
ネコ以外は……。
緊迫した空気に気づいていないのか、楽しそうに話してる。
「ちょっと……ネコ……ヤバイって」
私がネコの右腕の袖をクイクイ引っ張ってそう言うと、ネコは又不思議そうな顔をして首を傾げ、柔らかい声で言った。
「なぁに?」
『なぁに?』って……。
この空気が読めてないのはきっとネコだけだ。
そのとき、山根が大きな声でネコに向かって言った。
「あんたねぇ!さっきからなんなのよ?!」
ネコは驚いた顔で山根を見て、黙り込んだ。
「ここに来る前に私言ったよね?なんなの?!」
「……っ」
ネコが小さな声でなにか言ったけど、聞こえない。
そして又山根が大きな声で言った。
「はぁ?!なに?聞こえないんだけど!マジでっ!!」
女子が男子絡みで女子にキレることはよくあるとは思う。
でも、なんかこうなってくるとネコが可哀想になってくる訳で……。
するとネコは堂林の方を向いて、目に涙を溜めて言った。
「堂林くん……怖ぁい。助けて?」
え?
そういくの……?!



