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「えぇっと、藤堂柳之助君でしたよね。私は生徒会会長の皇百合枝と申します。特別待遇で慣れないことも多いかと思いますが、何かお困りがあれば気軽にご相談下さいね。一緒に生徒会役員として励んでいきましょう」

にっこり。百合枝はバックに薔薇でも舞っていそうな笑みを見せると、先程生徒会室に勢いよく訪ねてきた柳之助を席に座るよう促した。

「運が悪いことに丁度皆さんは今出払っていまして…戻り次第ご紹介をしますね」
「はっはい!」

美人に間近で微笑まれ、平常心を保っていられる男子高校生は少ないだろう。それもとびきりの。

「ふふっ。そう緊張なさらないで下さいな。何もとって食おうとしている訳ではないのですから」
「そっそうですね……」
「どうぞ、お茶でも飲んで落ち着いて下さい」

湯気が立ち昇る湯飲みを目の前に置かれて、柳之助は苦笑いをしながら湯飲みを手に取った。

「あ、茶柱だ」

飲もうと湯飲みを持ち上げた時、茶柱がふと目に入った。

「おや、それはそれは。幸先が良くて何よりです」

百合枝は自分の分を淹れると会長席へとつく。

(確かに緊張してもあれだしな…)

自分らしくやっていこう。柳之助はそう決めたのであった。