あれから2週間、二人は私の心配をよそに、仲良く仕事をこなしている。
今日は新曲のレコーディング。
個々にこだわりがあるらしく、打合せを入念にしていた。
「二人とも、何か吹っ切れたようだね」
「三井さん…すべてを白紙に戻したんです」
「そうみたいだね、順が喜んでいた」
「でも、こんな事をして、解決になるのか…」
「じっくり選べばいいよ。順か信司か」
マネージャー会議が開かれ、近況報告をする。
「信司は特に変わったことはないです。少し疲れも見えますが」
「休める時に休ました方がいいよ」
「はい」
「順は…」
一時間がたち、スタジオに移動する。
プロモーションビデオを作っていた。
「あっ、円!」
順が寄ってきた。
「今休憩?」
「うん、今回の曲、俺が作詞したんだ。円の事を考えながら」
「そうなの?嬉しい!」
自分にあてた曲なんて、すごく幸せ
「完成、楽しみにしてて」
「うん!」
順は戻っていった。
新曲の後はアルバム作りが待っている。
当分罐詰だろう。
その日終わったのは、午前3時だった。
私はみんなを送り、みずからも部屋で休む。
これから忙しくなりそうだ。