夏も本番
歩いていると地面からの照り返しで気温より熱く感じる。
今日は信司とショッピング。
私はバレないかとヒヤヒヤもんだ。
「これなんかどうかな?」
信司が私に服をあてる。
これで三件目。すでに五着は買った。
すべて信司が会計をしている。
「もういいよ。沢山買ったし…」
「まだいるよ。すいませんこれください」
結局七件回った。
疲れたのでカフェに入りラテを注文する。
「はぁ〜、もう信司と買い物に来ない」
「えーなんでだよ」
「店、回りすぎそして買いすぎ」
「うっ…」
コーヒーを持つ手が震える。
「だって旅行に行くから、必要だと思って」
「旅行?」
「うんライブが終わったらオフを3日もらう予定なんだ」
「私聞いてないよ」
カップをテーブルに置き手帳をひらく。
「石塚さんから許可もらった」
「そうなの?オフはいつ?」
「8月31日〜9月2日」
「…」
二人の誕生日…
「わかったわどこにいくの?」
「まだ秘密」
私は黙ってしまった、信司がサプライズを用意してくれたことを嬉しく思う。
しかし仕事に支障を来さないか心配だ。
「じゃあ帰りますか」
「そうね」

マンションは戻りクーラーをつける。
「あ〜ぁ、涼しい」
信司はコーラ片手にクーラーの前に立つ。
「もうだいぶ冷えてきたでしょ、座ったら?」
「そうだな」
ソファーに並んで座り、テレビをつける。
明日からライブのリハーサルが始まる。
信司の事だから、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるだろう。
私はマネージャーとして、支えなければ!
「円、どうした?」
「ん、信司を支えなければと思ってね」
「それは俺の台詞」
チュッ
「俺達、ジーちゃんバーちゃんになっても手を繋いでいこうな」
「そうね」

この時私の心は揺れていた。