言われた場所に向かい
車を降りて千夏を探す。
(くそっ…どこだ?)
周辺を歩き回っていると
街中で高校生の男女が話し込んでる声が聞こえた。
「ごめん!悪かったよ、だからこっち向いて…!」
「やめて!離して!私もう帰るから…!」
聞き覚えのある声に
思わず足を止めた。
-------まさか。
そう思って声のする方へ向けば…
「--------ひ、仁美さ…?!」
「………千夏…。」
気づいた千夏が俺の名前を呼ぶ。
男も俺に気づいたようで
誰だ、と言いたそうな顔で俺を見た。
(……なんだ、これは。)
千夏、お前…
男と2人で遊びに行ってきたのか?
まさかこいつがお前の言っていた
凛太朗 という男か?
何で…
何でそんな顔、してるんだよ。
「………。」
俺は黙ったまま千夏とその男の方へ近づき
男が掴んでいる千夏の腕を
強引に引き剥がした。
「いっ…!ひ、仁美さ…!」
「……帰るぞ千夏。」
俺は男を一瞬睨みつけて
千夏の腕を掴んでグイッと引っ張っていく。
(…なんだこの苛立ちは…。)
腹が立って仕方ない。
千夏が男と遊びに行ったって事実も
千夏があの男と何かあった様子なのも
…千夏は俺のペットだろう…
なのに何で
他の男と2人で…
(っ……何なんだこれは)
この感情は何なんだよ…!

