私がボーッとしながら凛太朗くんを見ると
凛太朗くんはハハっと笑いながら私を見下ろす。
「そっか、秘密にしてたもんね。
…今日は雛とじゃなくて、俺と遊ぶんだよ。」
「……へ…?」
凛太朗くんの言葉に目を丸くしていると
凛太朗くんが私の腕をつかんで校舎を出る。
(ちょっと…そんなの聞いてない!)
「ちょっと、凛太朗くん!」
「普通に少し喋るだけ。お願い。」
「でもこれって…。」
(デート になっちゃうよ…!)
嫌だとお願いしても凛太朗くんはそのまま突き進んでいって
とうとう学校の近くの喫茶店に入ってしまった。
「…どうしてこんなこと…。」
「だって…そうじゃないと早川、俺と話してくれないじゃん。」
「…!」
向かい合って座り
私は凛太朗くんのその言葉に顔を上げる。
凛太朗くんは真剣な顔をして私に言う。
「…この前はごめん。
怒らせるようなこと言って。」
そう言って真剣に頭を下げる凛太朗くん。
私は慌てて顔を上げて、と凛太朗くんに言う。
凛太朗くんは顔を上げて
申し訳なさそうに眉を下げた。
「でも…別に早川のこと遊びってことじゃないから。」
(…………え?)
私は凛太朗くんの顔を見ながら
目を丸くする。
遊びじゃないって…
じゃあ一体何…
「…この前はあんなこと言っちゃったけど、皆と違う早川に本当に惹かれたんだよ。」
と目を見てまっすぐに言われて
私は射抜かれたように
目を逸らせなかった。
「だから…その、まずは友達からでいいから…口聞いて欲しい…です。」
と言って
凛太朗くんらしくなく
照れたように視線を逸らしてそう言われた。
------ドキッ…
そんな彼の姿に
心臓がドキっと鳴った。
(…っ、真剣に告白されるの…慣れてないよ…。)
そう思いながら私は
深呼吸を吸って、心を落ち着かせる。
「…うん、いいよ。」
「え…?」
「友達からなら…全然いいよ。」
そして、そう言って微笑む。
私の言葉に凛太朗くんがパッと顔を明るくする。
「良かった…!嬉しい!よろしく!」
そう言って笑顔で
テーブルの上にある私の手をギュッと握ってきた。
私は動揺しつつも
何の気なさそうな凛太朗くんに
何も言えずハハハ…と流す。
(こ、これが多分彼なりの普通のスキンシップなんだろうなぁ…。)
こりゃ確かにいろんな女の子が好きになっちゃうはずだよね…と納得しながら
私は凛太朗くんと仲直りをして
普通に楽しく時間を過ごした。

