「…起きろ千夏。」
「………。」
「起、き、ろ!」
むぎゅう!!
頬を強く引っ張られ
ビックリして思わずハッと目を覚ました。
「ひ、ひほひひゃん(仁美さん)?!」
私が起きたのを確認すると
パッと引っ張っていた手を離され
私は痛む頬をさする。
いつの間にか時刻は7時を過ぎていて
仁美さんが帰宅していた。
「制服のまま昼寝してんじゃねぇよ。
シワになんだろうが。」
「うぅ…すみません…。」
「早く着替えて、夕飯行くぞ。」
そう言って私のクローゼットからパパッと服を取り出し投げられる。
私はそれを受け取って着替えの準備をする。
「……仁美さ〜ん。」
「あ?」
「出て行ってくださいませんか。」
「何でだ。後ろ向いてるだろ。」
「落ち着きません。」
相変わらず変態な脳みそを発揮する仁美さんに
私がそう言うと
仁美さんはパッとこっちを向いて近づいてくる。
(-------え、え、え…?!)
いつもなら出て行ってくれるのに
なぜか今日は出て行くどころか
近づいてきて…?
「……ひ、仁美さ…っ?」
「逃げるな。」
そう言って壁際まで追い詰められ
逃げ場を失う。
かなりの至近距離に、心臓がバクバクと鳴る。
固まっていると
見下ろしていた仁美さんの顔が段々と降りてきて…
(…っ…?!)
思わずギュッと目を瞑った。
すると首に冷たいものが当たって
-----カチャッ…
と音がして目を開ける。
すると仁美さんの顔がいつの間にかまた上にあって
見下ろされながら微笑まれる。
「…悪くねぇな。」
「えっと…仁美さん…?」
首にある感触に手を伸ばすと
そこにはネックレスがぶら下がっていて。
思わずビックリして仁美さんを見上げる。
「え、あの!これどうしたんですか…?!」
「ジュエリーショップの社長から新作を貰ってな。お前にやる。」
そう言って優しく微笑むと
仁美さんは私から離れて部屋を出て行った。
(…び、ビックリした…。)
まだバクバクと言っている心臓に
手を当てて深呼吸をする。
ネックレスに触れて
綺麗なデザインのそれを眺めながら
私も嬉しくて笑顔になった。
「千夏、早く着替えろよー。」
部屋の外から仁美さんの声がして
ハッと我に返って急いで着替え始めた。

