「凛太朗くんと試しに付き合ってみれば?」
「え?!」
「付き合ってみて初めてわかることだってあると思うよ?」
「そ、そうかな…。」
雛にそんなことを言われて
思わず苦笑いをする。
付き合って初めてわかること…か。
でも凛太朗くん私のこと好きってわけじゃないし。
私のことが珍しくて振り向かせて見たいってことだから
何かそんな人とは付き合いたくない。
「無理、付き合えないよ。」
「えー?何でよーもったいない。」
「私は凛太朗くんと付き合いたくないんだもん。」
きっと凛太朗くんのことだから
付き合うって言ったら
『俺のこととうとう好きになったんだ?』
とか
『俺の勝ちだね。』
とか
そんなこと言ってきそうから絶対嫌。
「凛太朗くんでダメなんて
千夏も理想高いな〜。」
「そんなんじゃないもん。」
「ふーん?
ま、千夏は今は恋愛に興味ないのかな。」
なんて言いながら雛はもぐもぐとお弁当を食べ進める。
(……でももし、仁美さんに凛太朗くんと付き合うって言ったら、どうするかな…。)
やっぱり怒る?
それとも引かれるかな?
びっくりはしそう。
むしろ無関心になったりして。
「……好きな人かぁ…。」
好きな人って、どうやってできたっけ。
好きって気持ちってどんな感じだっけ?
(…仁美さんなら、なんて言うかな…。)
俺は人のことなんて好きになったことない
とか言われたらどうしよう。
それはそれで
仁美さんらしいっちゃらしいけど。
…青春かぁ…私にも来るのかな…。

