「………。」
「なんだ、まだ拗ねてるのか?
それとも照れ隠しか?」
現在学校まで車で送って行ってもらってます。
えぇもちろん口は聞いていませんよ。
なぜなら今朝は本当に殺されかけましたからね。
「仁美様…千夏様は昨夜からお疲れでいらっしゃいます。
あまり意地悪はなさらないほうが…。」
「意地悪なんてレベルじゃないですよ。」
運転している花崎さんの言葉に私が付け足す。
あれから何度も同じことが繰り返され
何度意識が朦朧としたかわからない。
隣にいるこの人の
昨夜の紳士ぶりはどこにいったのか。
朝はもうやりたい放題。
私は雛鳥ですか?えぇ?!
「そんな怒らなくてもいいだろ。
減るものでもない。」
「……少し黙ってください。」
「ったく…我儘な犬だ。」
そう言いながら車の窓の方へ向いて
窓を開けると煙草を吸い始める。
この人は…反省もなしで
本当にお坊ちゃん育ちなんだから…!!
と少し彼の育ちに腹を立てながらも
こうして学校の制服やらをすぐに調達してもらって送ってもらっているのだから
文句は言えない。
(……ファーストキスまで取られて…あんな…。)
と、思い出してジワジワと顔に熱がたまる。
誤魔化そうとして私も自分側の窓を開けて風にあたる。
「………馬鹿犬め…。」
「…?今何か言いました?」
「別に。
…もう着く。準備しとけ。」

