「彼の家はどう?
苦しい生活はしていないだろうけど。」
大きな会社の時期社長様だもんね、
さぞかし良い暮らしをさせてもらったんだろう。
そう言いながら車を走らせる彼の隣で
私は静かに
体を震わせていた。
拳を膝の上で強く握りながら
ただ黙っていた。
「…彼のところに行った時
千夏の名前を出したら
酷く動揺していたよ。」
「っ……!」
「短期間なのに…随分仲良くやってるみたいだね?」
そう言った彼が
こちらを向いてきて
……その目は、冷たさを含んでいた。
「…!!」
-----ゾッとした。
何を考えているかわからない
その冷たい笑みに
私は何も返すことができなくて
すぐに目を逸らした。
「…まぁいいよ。
これからは俺がそばにいるんだから。」
…前みたいにね。
そう言った彼が
どんな顔をしていたのか分からないけど
声の調子的に
少しご機嫌だった。
…でもだからこそ
私は彼が怖かった。
…今の彼は
何をするか分からない。

